2002年12月06日

【ローマ人の物語】塩野七生

塩野七生 / 新潮社
 塩野さんって面白い人だなあ、 と思う。ダンナもあの人の本がずっと好きで(小説の方じゃなくて歴史書の方が)、ずっと塩野さんって男の人だと思ってたらしいんだけど、でも、女性だねえ、と私は思う。言葉が悪いかも、ですが(^^;)、ものすごくミーハーなところがあるなあ、と感じるんですね。私は塩野さんの本は小説…「チェーザレ・ボルジア~」から入ったので当時は、うわお、豪華絢爛!森川久美さんなどが漫画にしたら、もうバリバリ!などと思ってしまったものですが、じゃ、軽いのか?と言うとそうじゃない。重いんですね。緻密に調査してかっちりした文体でがっちりと書き込んでいっているんだけど、でも、どこかに凄くミーハーで女性的な視点がある。男性読者はそのあたりをどういう風に見て(読んで)るんだろう。そう言う部分には引っかからないのかな?
 私は歴史、戦争物は苦手なんですよ(頭が悪いもんで、戦略ってのが分からないんですよ(^^;))。だから、塩野さんのこれを読んでいても、やっぱり分かってはいないんですが(感想は、ひゃー凄いなーローマ人って凄いなー。カルタゴってアホやなー、ハンニバルってすごいなースピキオって凄いなーなんでこんな事が分かるんやろうなー天才って凄いなー、こんなに先を読んで行動できるなんて、人間ちゃうなー…と言うのしか出てこない、情けなさ(^^;))、しかし読み進めながら血湧き肉躍ってたりします(笑)。こんな感覚は久しぶりかも。司馬氏の「坂の上の雲」で、おお、血湧き肉躍る、とはこういう感覚か、と思った記憶があるのだけど、それ以来ですね。

SayaT at 2002/12/06 | Comments [0]

2002年12月05日

【ダンサー・イン・ザ・ダーク】

(ビデオ)2000/デンマーク/ラース・フォン・トリアー
 新聞で一時期「感動大作!」とか、「衝撃のラスト」とか「涙なしでは見られない」、と言ったような宣伝がされていて、それよりも私はビョークの「顔」に惹かれて(それまで、私はビョークのことを全く知りませんでした)一度見てみたいと思ってたのです。でも劇場には行けなかったので、ビデオが出るのを待って即借りてきたんですが。
 なんと言ったらいいのか分かりませんでしたね。ビョークの歌はとても良かった。ミュージカルシーンもとても良かった。でも、映画としては「感動の大作」でも「衝撃のラストシーン」でも「涙なしでは見られない」でもない、と思ったのだけど。
 私があの映画から一番感じたのは「人間の悲しさ」と「弱さ」と「情けなさ」かな。セルマがああいう状況に陥っていく過程も全く無理なく描かれていて、何とも言えない気分にさせられる。一つ歯車が違えばこうまで物事は変わってくのか、と、暗澹たる思いにさせられる。
 でも、セルマが東欧からの移民でなかったら? 社会的弱者でなくても、ここまでの結末になったか?
 と、私は思ってしまうわけです。そのことをダンナに言ったら、「移民差別などに対するプロパガンダな映画だな」と言われたんですが、そこまで意図されていたのかどうかは私は分からない。ともあれ、私にとっては世間でよく言われている「セルマの息子に対する無償の愛情」よりも何よりも、そのことの方が重かったんですね。この映画。(「息子に対する無償の愛情」なら、もっとうまく立ち回れよ、セルマ、お母さんだろ、と思ってしまう。でも、立ち回れないのは、セルマの性格、それは「移民であり」「一人で頑張って生きてきた」と言う事が一番影響してるんではないか、と思う。つまり結局の所、やはりそっちの方に私の意識は向かってしまうのだ)  人間って情けないもので、多分「差別意識」というものはどんな時代になっても無くならないものなのだろうな、と思う。だから、この映画で描かれたことはどの時代、どの場所でもありうることなのだろうな、と思う。それがとても恐ろしいし、情けなく思う。
 …きっと、私のこの映画の見方って、変なんだろうな(^^;)。まあ、どういう風に見るかは観客の自由なので、良いことにしよう。  もうひとつ。手回しカメラは私は嫌いです(^^;)。酔うんです。ブレアウィッチでももう、吐く寸前まで行っておりましたが、この映画でも同じだった。途中でどうしても見ていられなくなって、しばらく休憩したくらい(それもあって、ミュージカルシーンになると、私自身も凄くホッとする。画面が揺れないから…。あら、監督はこれも狙ってたのかしらね。セルマにとっての唯一の安息シーンである、ミュージカルシーン)。このビデオを借りたときは字幕版が全部で払っていて、心ならずも吹き替え版で見たんですね。字幕版でもう一度見てみたいんですが、あの画面を思い出すだけで気分が悪くなるので、なかなか踏ん切りがつきません(^^;)。困ったな。

SayaT at 2002/12/05 | Comments [0]

2002年12月01日

【ペイ・フォワード】

(DVD)2000/米/ミミ・レダー
 初盤、中盤、まあ、こういう風にはうまくはいかんよな、世の中…と思いつつも結構楽しんでみてたんですが、ラストで愕然。なぜあんなふうにしちゃうかな。あのまま、終わっても良かったのに。ちょっとおとぎ話風の、世界も人間もまだまだ捨てたもんじゃないよって風味の映画になったと思うのに。オスメントくんが刺されたとたんにいきなり「泣かせてやろう!」意図が見え見えな印象を受けてしまって、さーっと醒める私。…でもじわんと来たけど(笑)。子供が死ぬのはいけません。若い人が亡くなるのはいけません。とても悲しいことです。なので、悲しくなったんですが、その後のろうそくのシーンはもっといけない。追い打ちをかけられてもっと醒めてしまいました。
 ああいうシーンで本当に泣かせようと思ったら、途中をもっと違う作りにしていかないといけないんじゃないかなあ。うまく表現できませんが。あの話の流れではちょっと…なんというか、余りにもすっ飛びすぎているような気がする。
  あの子は一種の「伝説」となったわけで、映画製作者はそれを狙ったのだろうけど、その部分に感動できない、と言うことは、見ているこちら側にとってあの子は「伝説」にはなり得なかった、と言うことだろうか。あの子は普通の子よね。普通の子が伝説になる、と言うのも美味しい筋立てかもしれないけど、そこまで惹かれるものがあの子供にも映画の筋立てにもないと思う。これは脚本や演出やら全部の責任になるのかなあ。映画制作のことはよく知らないので、私にはわからないが。

SayaT at 2002/12/01 | Comments [0]

【ブレアウィッチ・プロジェクト】

(ビデオ)1999/米/ダニエル・マイリック
 去年だったかビデオ借りてみたんですわ。怖かったんですわ(^^;)。私は非常に疑い深いくせに妙に信じやすい部分もあって、ああいうのを見ると「こんなの作り話に決まってるじゃん」と思いつつもとっても怖くなるんですわ(^^;)。ぶんぶん振り回される手回しカメラの映像と、肝心の所は全く写さない、結局何がなんだかよく分からない、あの画面がとってもツボにはまったんですね。なかなか面白かった。その後、それに関したビデオをいくつか見たんですが、他のはつまらなかった。2が出るとかなんとか言うのもちらっとCMで見たんですが、結局どうなったのか知りません(2003年5月現在。でてました。2が。借りようかな、と思ったんですが、辞めました(^^;)。で、【穴】を借りました(笑))。まあ、これはこの1本で終わらせてなんぼの映画だなあ、と思いました。続きを出すってのはヤボ以外の何物でもない、と。

SayaT at 2002/12/01 | Comments [0]