2002年12月05日

【ダンサー・イン・ザ・ダーク】

(ビデオ)2000/デンマーク/ラース・フォン・トリアー
 新聞で一時期「感動大作!」とか、「衝撃のラスト」とか「涙なしでは見られない」、と言ったような宣伝がされていて、それよりも私はビョークの「顔」に惹かれて(それまで、私はビョークのことを全く知りませんでした)一度見てみたいと思ってたのです。でも劇場には行けなかったので、ビデオが出るのを待って即借りてきたんですが。
 なんと言ったらいいのか分かりませんでしたね。ビョークの歌はとても良かった。ミュージカルシーンもとても良かった。でも、映画としては「感動の大作」でも「衝撃のラストシーン」でも「涙なしでは見られない」でもない、と思ったのだけど。
 私があの映画から一番感じたのは「人間の悲しさ」と「弱さ」と「情けなさ」かな。セルマがああいう状況に陥っていく過程も全く無理なく描かれていて、何とも言えない気分にさせられる。一つ歯車が違えばこうまで物事は変わってくのか、と、暗澹たる思いにさせられる。
 でも、セルマが東欧からの移民でなかったら? 社会的弱者でなくても、ここまでの結末になったか?
 と、私は思ってしまうわけです。そのことをダンナに言ったら、「移民差別などに対するプロパガンダな映画だな」と言われたんですが、そこまで意図されていたのかどうかは私は分からない。ともあれ、私にとっては世間でよく言われている「セルマの息子に対する無償の愛情」よりも何よりも、そのことの方が重かったんですね。この映画。(「息子に対する無償の愛情」なら、もっとうまく立ち回れよ、セルマ、お母さんだろ、と思ってしまう。でも、立ち回れないのは、セルマの性格、それは「移民であり」「一人で頑張って生きてきた」と言う事が一番影響してるんではないか、と思う。つまり結局の所、やはりそっちの方に私の意識は向かってしまうのだ)  人間って情けないもので、多分「差別意識」というものはどんな時代になっても無くならないものなのだろうな、と思う。だから、この映画で描かれたことはどの時代、どの場所でもありうることなのだろうな、と思う。それがとても恐ろしいし、情けなく思う。
 …きっと、私のこの映画の見方って、変なんだろうな(^^;)。まあ、どういう風に見るかは観客の自由なので、良いことにしよう。  もうひとつ。手回しカメラは私は嫌いです(^^;)。酔うんです。ブレアウィッチでももう、吐く寸前まで行っておりましたが、この映画でも同じだった。途中でどうしても見ていられなくなって、しばらく休憩したくらい(それもあって、ミュージカルシーンになると、私自身も凄くホッとする。画面が揺れないから…。あら、監督はこれも狙ってたのかしらね。セルマにとっての唯一の安息シーンである、ミュージカルシーン)。このビデオを借りたときは字幕版が全部で払っていて、心ならずも吹き替え版で見たんですね。字幕版でもう一度見てみたいんですが、あの画面を思い出すだけで気分が悪くなるので、なかなか踏ん切りがつきません(^^;)。困ったな。

SayaT at 2002年12月05日 09:46
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