2004年12月25日

【タイムマシン】

(DVD)2002/米/サイモン・ウェルズ
ウェルズの原作が結構好きだったのと、原作をかなり離れて作られていてそれなりに面白い、と言う評を読んで興味を持って借りてきたもの。
おお、確かに全然違います。お話としては、おいおい、と言う部分もたくさんなのですが、でも全体を通じて雰囲気が妙に良いですねえ。印象的。画面がいいのかな。きれい。まあ、これはこれで良いのでは。
余談 「おいおい」の部分:あれだけ恋人に執着して作り上げたタイムマシン。この設定はとても切なくて良かった。なのに、未来であっさり他の女の人になびくか?こら。

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2004年02月25日

【タイムライン】

(劇場) 2003/米/リチャード・ドナー
最初の方はどうにも話に入り込めず(余りにも無理ありすぎ)文句タラタラ見ていたのだが、後半はとっても元気が良かったので全部帳消し。遠投石機かっこよかったし、なので、あれはあれで良し!…としよう。(^^;)。お話も一応きちんと終わらせていたしねえ。私としては中世の城がいっぱい見れたので、嬉しかったかな。AOEでは遠投石機使いの息子はもう大興奮でした(笑)。しかし、フランソワ。なぜあのキャラクターを出したのだろう。死ぬためだけに出てきたキャラのようで後味が悪いったら。彼が殺された事によって、ケイトの「場合によっては殺人も辞さないわ」という決意が固まる、というような流れを期待したのだろうか。ああ、いやいや、この映画はストーリー面にこだわってはいけないのだろう、多分。
(2004/02)

SayaT at 2004/02/25 | Comments [0]

2004年12月25日

【たたり】

(ビデオ)1963/米/ロバート・ワイズ
シャーリー・ジャクスン作の「山荘綺談」の映画化されたもの。かなり古いもので、白黒画面です。私はジャクスンのこの小説が子供の頃もう、好きで好きで。その本の解説にこの映画の一場面の写真が載っていて「とても良い映画だ」と褒められているのを見て、もう見たくて見たくて。(子供の頃からホラー映画好きでした(笑)。ピーター・カッシングとクリストファー・リーの「吸血鬼ドラキュラ」とか。とてもゴシックな雰囲気で良かったですよねえ。昔のホラーは。あの頃のはホラーとは言わないのかな?) その「たたり」をレンタルビデオ屋で見つけたときの喜びったら!!!震える手を押さえながら借りてきましたとも。…そうして、そのあまりの期待の大きさに、内容はちょっとがっかりでした(^^;)(←バカ)。その後、山荘綺談は「ホーンティング」と言うタイトルでリメイクされてそれも見ましたけれど、うにゃうにゃの扉の模様以外全然印象に残っていません。
 この作品に関しては強力に原作の方をお薦め! 

SayaT at 2004/12/25 | Comments [0]

2005年07月15日

【箪笥】その2

(DVD)2003/韓/キム・ジウンネタバレバレバレです
 サブニューになってたので、借りてきました。やっぱり好きだなーこれ。
 その1で書いた「妹の設定」ですが、知的障害がある等の設定は映画では特になされていないようですね。お姉ちゃんに頼り切っている、ボヤーとした、でも素直な子供って感じなのかな。しかしやっぱり、あのボヤケッぷりには違和感有り…。
 私がなぜこの映画が好きなのか。「切ない」のですね。それが好きなんだわ。お姉ちゃん(スミ)がとても切ない。怒りや憎しみや嫉妬や、愛情や後悔、取り返しのつかない思い、そう言った重たい感情に押しつぶされて自分で自分を保てなくなってしまったスミ。もう切なくて切なくて。音楽の使い方もよいし風景やあの古い家の雰囲気も良い。ホラー部分は私的には不要。まあ、あれがないと全体にぼやけた映画になってしまいそうだからあっても良いのだろうけど、でも、私には邪魔でしかないなぁ、あの変なお化け。
 …つまり私はあの映画を「ホラー」としては見ていないわけです。ホラーとしてみたらどうなんでしょうね。中途半端じゃないのかな。よく分からない。(お化けの扱いがよく分からないわけです)
 
 私なりの解釈。
 あのかわいいスヨン(妹)もスミの幻想だと私は解釈。スミは1人で3役やっていたわけです。怖いお化けはスヨンとお母さんの本当のお化け、かな。最終的にウンジュ(継母…にもうなってるのかな?)はお母さんとスヨンのお化けに取り殺されたと見て良いのかな。スミは自分の中の感情が収集つかなくなって病院暮らし、と。義弟の嫁さんのは単なるヒステリー発作、と(お化けの気配も一役買っているのかもしれないけど)。
 スミは自分の家庭に入り込んできたウンジュを許せない。そのウンジュに反抗したが為、もしかしたら助けられたかもしれない妹を結果的に見殺しにしてしまった、その後悔。忘れたいのに忘れられない、そんな地獄をお前は知っているか(という言葉をウンジュ@スミがスミ@スミに吐いています。圧巻。
 スミの時間はそこで止まってしまった。スミは何度もやり直さざるを得ない。継母になり妹になり自分になり、何度も何度も時間を繰り返す。何度繰り返しても何も変わらない。スミは何度もスヨンを死なせてしまう。継母である自分がスヨンを殺し、それをどうしようもなく見ているだけの自分が居る。
 
 こう書いてみるとミもフタも御座いませんが、やはりスミの1人3役が圧巻。最後の方でFLASHバックでネタバラシしますが、それが邪魔なくらい圧巻。ホラー部分も邪魔。…ああ、いっそこのこと心理サスペンスで描ききってくれたら最高だったのに(私にとって(^^;))。

 
 うわー…5月末ごろにこの記事を書いているんですが、下書きのまま放置していたようです。もう2ヶ月近くたってるじゃないのさ。慌ててアップ。

SayaT at 2005/07/15 | Comments [0]

2004年08月25日

【箪笥】

(劇場)2003/韓/キム・ジウン
なかなか分かりづらい映画でしたが、音楽良し映像良しお姉さん方美人で良し!と、眺めているだけでも楽しかったです。途中で何となくネタはばれてしまうのですが、妹の扱いがよく分からなく……。なんでこの子はこんなにぼんやりしているのだろう、とても小さい子ならともかく、13.4歳にはなってそうなのに…と思ってたら、どうやら知的障害のある設定らしいですね。それ分かるように描かなきゃ…と思うんですが。そしたらもっと味わいが深かった。お姉さんがあの状況に陥っていくのがよく分かるのに。そうしたらあの切なさももっともっと伝わってくるだろうに。と思ったのでした。(私がその妹の設定を見逃していただけ、と言う話もあり得るけど(^^;))

SayaT at 2004/08/25 | Comments [0]

2003年07月25日

【ターミネーター3】

(劇場)2003/米/ジョナサン・モストゥ
 昨日、映画館の近くまで行く用があったので、ついでに映画観てくるか、と観てきました。T3。
 豪勢に壊したなあ。豪勢に殺したなあ。もうそれだけ(^^;)。最近ちょっとハリウッド映画に食傷気味なこともあって、疲れ果ててしまいました。あれは元気なときに元気よく見に行く映画だなー。女性型ターミネーターの女優さんがかわいい。キュート。ラブコメとかやらせたら結構似合いそうな感じの人が、あの役柄って面白いなー。と言うことで、その女優さんばっかり観ていました。(^^;)。(2003/07)

SayaT at 2003/07/25 | Comments [0]

2002年12月05日

【ダンサー・イン・ザ・ダーク】

(ビデオ)2000/デンマーク/ラース・フォン・トリアー
 新聞で一時期「感動大作!」とか、「衝撃のラスト」とか「涙なしでは見られない」、と言ったような宣伝がされていて、それよりも私はビョークの「顔」に惹かれて(それまで、私はビョークのことを全く知りませんでした)一度見てみたいと思ってたのです。でも劇場には行けなかったので、ビデオが出るのを待って即借りてきたんですが。
 なんと言ったらいいのか分かりませんでしたね。ビョークの歌はとても良かった。ミュージカルシーンもとても良かった。でも、映画としては「感動の大作」でも「衝撃のラストシーン」でも「涙なしでは見られない」でもない、と思ったのだけど。
 私があの映画から一番感じたのは「人間の悲しさ」と「弱さ」と「情けなさ」かな。セルマがああいう状況に陥っていく過程も全く無理なく描かれていて、何とも言えない気分にさせられる。一つ歯車が違えばこうまで物事は変わってくのか、と、暗澹たる思いにさせられる。
 でも、セルマが東欧からの移民でなかったら? 社会的弱者でなくても、ここまでの結末になったか?
 と、私は思ってしまうわけです。そのことをダンナに言ったら、「移民差別などに対するプロパガンダな映画だな」と言われたんですが、そこまで意図されていたのかどうかは私は分からない。ともあれ、私にとっては世間でよく言われている「セルマの息子に対する無償の愛情」よりも何よりも、そのことの方が重かったんですね。この映画。(「息子に対する無償の愛情」なら、もっとうまく立ち回れよ、セルマ、お母さんだろ、と思ってしまう。でも、立ち回れないのは、セルマの性格、それは「移民であり」「一人で頑張って生きてきた」と言う事が一番影響してるんではないか、と思う。つまり結局の所、やはりそっちの方に私の意識は向かってしまうのだ)  人間って情けないもので、多分「差別意識」というものはどんな時代になっても無くならないものなのだろうな、と思う。だから、この映画で描かれたことはどの時代、どの場所でもありうることなのだろうな、と思う。それがとても恐ろしいし、情けなく思う。
 …きっと、私のこの映画の見方って、変なんだろうな(^^;)。まあ、どういう風に見るかは観客の自由なので、良いことにしよう。  もうひとつ。手回しカメラは私は嫌いです(^^;)。酔うんです。ブレアウィッチでももう、吐く寸前まで行っておりましたが、この映画でも同じだった。途中でどうしても見ていられなくなって、しばらく休憩したくらい(それもあって、ミュージカルシーンになると、私自身も凄くホッとする。画面が揺れないから…。あら、監督はこれも狙ってたのかしらね。セルマにとっての唯一の安息シーンである、ミュージカルシーン)。このビデオを借りたときは字幕版が全部で払っていて、心ならずも吹き替え版で見たんですね。字幕版でもう一度見てみたいんですが、あの画面を思い出すだけで気分が悪くなるので、なかなか踏ん切りがつきません(^^;)。困ったな。

SayaT at 2002/12/05 | Comments [0]

2004年01月25日

【ダークネス】

(DVD) 2002/スペイン・米/ジャウマ・バラゲロ
 画面は良いし、雰囲気もそれなりだし、シーンシーンではそれなりに怖いしドキドキもするし、まあ、良いのだけど、なんか既視感がつきまとい(なんだかどこかで見たような部分がちらほら)、見終わったあと「だから何なの?」。これが一番拙いですねえ(^^;)。もったいないなあ、って感じでした。あの家はこれから次々と人を引き寄せて喰っていくのかしらね。(2004/01)

SayaT at 2004/01/25 | Comments [0]

2004年12月27日

【父と暮らせば】

(劇場)2004/日/黒木和雄 
思いっきり泣かせていただきました。(^^;)。こう言うのには弱い。理屈抜きで弱い。大上段に振りかぶるではなく、日々を懸命に生きている一般市民の視線で描かれている、もうそれだけで弱い。ところでお父さん、宮沢りえは美人です。お前みたいなちんくしゃ(と言う表現ではなかったと思うが)でも中味がよけりゃ…というセリフはとっても空回りです(笑)。
 さて。映画としてはどうだったか、と言うと、なぜ映画?と言う疑問でいっぱい。舞台劇みたいだなあ、と思って観ていたんですが、実際原作は戯曲だったんですね。舞台劇で観たいなあ、と言う印象を受けてしまうのは拙いのではないでしょうか。舞台劇的な良さ、面白さを残しながらもあくまでも「映画」として作る、と言うことも可能だと思うのですが。そう言う意味では、私は「死の棘」の方が作り方が上手い、と思うのですけど。まあ、比べるようなものでもないか。

 演劇の方、香港公演とても好評だそうですね。良かった良かった。この戯曲で描かれている感情は民族を問わず「人間」に共通するものだと思うのですよ。「親子の情愛」と「1人生き残ることの苦しみ」「生きることへの希望」だもの。そうして、全ての人がこういうふうにいつも感じてくれていたら、世界から戦争はなくなるのに…と思うのになぁ。世界はややこしいのね。全のために個は潰されるのね。そうでないと回っていかない部分ももちろん多いのだけど、その結果が戦争ってのはやりきれないです。他に道はないのか?

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2003年03月01日

【ツインズ 】

(DVD)1988/米/アイバン・ライトマン 
ツインズはずいぶん前にテレビかなんかで見て、それまでシュワルツネッガーと言えばコナン・ザ・グレートのイメージしかなくタダのキン肉マン(失礼(^^;))と思っていたシュワ氏がかなりの役者だった!とびっくりした映画。でも、内容は見事と言うほど忘れ去っていたので、とっても楽しめました(笑)。いや、笑った笑った(^^;)。
 これは最近ターミネーターに凝っている息子共に「かわいいシュワちゃんを見せてあげよう!」と借りてきたものでした。子供たちにも大好評でした(笑)

SayaT at 2003/03/01 | Comments [0]

2004年01月25日

【ディープ・エンド・オブ・オーシャン 】

(DVD) 1999/米/ウール・グロスバード
 あーこれは本能に負けました。子供が居なくなって硬直したようになっている母親が、子供の写真を見たとたん号泣する辺りで私もぼろぼろ涙が(^^;)。その子供が見つかって、養父と別れる辺り(と言うか、養父が子供の成長記録を本当の両親のところに持ってくる辺り)でまたぼろぼろ泣く(^^;)。子供がいきなり居なくなるのは非常に恐ろしい。想像するだけでぼろぼろ涙がこぼれるほど怖い。そんな母親の本能を思いっきり刺激してくれる映画でした(^^;)。(でも、何に感動したとか、そう言うのはないので、多分もう見る事はないか、と。もう一度みたい、と思うような映画ではないですね。)
 昔、病院で取り違えられた子供たちがいましたね。何年もずっと我が子と信じて育ててきたのが、実は我が子ではなかった。あの事件の時に、親子の絆というのは血のつながりなのか、それとも共有してきた時間なのか、どちらなのだろう、と、考え込んだものですが、今回の映画でもそうですね。養子ではあっても愛情を込めてとてもかわいがって育ててきた自慢の息子が、実は誘拐された子で(死んだ妻が誘拐した子供)、本当の親に返さなければならない。なんて恐ろしい事なんでしょう。養父にとっても子供にとっても(養父が本当の両親に言った、「いかれた女と誘拐された子ではない。愛する妻と自慢の息子だ」という言葉にはもうぼろぼろ涙が(^^;))。でもね、子供は両方の親の子供だと思うのよ。どっちがほんとでどっちが嘘かなんて言えない。これからは両家共に親戚づきあいせい!と、私は思ってしまいましたな。
 ところで ベン=サムはできすぎだなあ。映画では、両親、兄共にベン=サムに救われた形だけど、実際はそうはいかないだろうなあ、と思いますなあ。一番混乱して一番辛いのは当の子供なのだから、あんなに立派な事はそうそう言えないんじゃないか、と思うのだけどな。まだ12歳だし。(2004/01)

SayaT at 2004/01/25 | Comments [0]

2004年12月25日

【閉ざされた森】

(DVD)2003/米/ジョン・マクティアナン
二転三転四転五転六転七転八転九転…いやもう飽きました。「転」のためだけの映画だったような気分。人は「転」が面白いのではない。「転」の結果、「おお!」とか「なるほど!」とか思える、その感覚(カタルシス)を人は求めるのである。物語は「起承転結」があってこそなわけだが、「起転転転転転転…よくある結」ではつまらんよ。…と思いました。

SayaT at 2004/12/25 | Comments [0]

2004年06月05日

【トロイ】

(劇場)2004/米/ウォルフガング・ペーターゼン
…を観に行く。ダンナと次男坊が「絶対観る!」と叫んでいたので、おつきあい。でも、公開後さっさと行かなかったもんだから、デイ・アフターに負けてしまって画面が小さい(;_;)。ああ、公開直後に行っておくんだった。この映画は大画面で見たかった…。

 途中までは面白かったです。歩兵の戦闘だとか、アキレスとヘクトルの一騎打ちだとか。でもその後が、その後が、その後が…(T^T)。ちょこざいな!

 と言うのが、全体の感想になってしまいました。いやね、あそこまでね、男達の戦い、ってかんじで押してくれたんならラストまで押し通して欲しかった。ちょこざいな!木馬かよ!と言う感が否めない(^^;)。ヘクトル、なんのために死んだのよ。ちょこざいな!(もういい、と言われそうだな(笑))

 木馬が出てきたのは、長い戦いでにっちもさっちもいかなくなった末の、ちょこざいオデッセウスの知恵だったのだけど、それなら納得も行くのだけど、ヘクトルは死んだわ、アキレスは戻ってきたわ、その時点でいきなり木馬ですか!と言う感じがどうしてもしていかん。おまけにその木馬の中にアキレスまで入ってるし。理由が「女かよ!」 君の信念はどこへ行った。その前に、いとこ殺されてそこまで切れるかっ君だっていっぱい人のいとこを殺して来たろうに。君はそこまでの男だったのか!アキレスよ。

 と、ラスト1時間はもう憤死ものでした、私にとっては(^^;)。そこまでが結構楽しめただけにもう悲しくて。アキレスもかっこいいなーと思ってたのに。ヘクトルもかっこいいなーと思ってたのに。王様もかっこいいなーと思ってたのに……

 でもまあいいや。戦闘シーンは見応えあったし、城のシーンも好きだし。ヘクトルは最後まで哀れでした。パリス。あんただけ最後までいい目みたわね。


 ところで、王様! オトゥールだったんですね! 年取ったなぁ…私が最後に知っているのはカリギュラでした。そりゃ年取りますねえ。

【トロイ】その後

 うーむ、昨日からトロイの事ばかり考えている。なぜあんなちょこざいな映画になってしまったのか!もったいない!(結局はやっぱりとっても面白かったって事なんですよね(^^;)。面白かった、と言うより、かっこよかった、と言うべきか)

 私が考える問題点。その1。木馬が拙い。
 史実(かどうかはしらんが、ともかく、木馬がなければトロイ滅亡はない)なので、木馬を引き入れた事によってトロイが滅亡する事自体は変えようがない。しかし、あの流れで「木馬」を持ってくるのは非常に拙いのではないか。
 勝利のためには木馬が必要だった、と言う、必然性が感じられない。素晴らしい計画だ!と言うよりもちょこざいだよ、あんたら、と言うイメージの方が強くなってしまう。どうしてもあの城壁は破れない。木馬以外に手がない、と言う逼迫した雰囲気が欲しかった。あの描きようじゃ、オデッセウスの思いつきがまあ大当たりぃドンドン!って感じじゃないですか。

 その2.アキレスが拙い。
 アキレスのキャラクターはとても面白かった。王に忠誠を誓うのではなく、戦う事だけに己のすべてを託している、後世に名を残す事を何よりも望んでいる、あくまでも自分のために戦う男、と言う設定が面白かった。なのに、なんだか親族が殺された事で逆上はするは、いきなり敵方の女に惚れて木馬に紛れてまで追っかけするわ。いや、惚れるのは良いです。良いんですが、エピソードの扱いが良くない。なんや、君は意外と軟弱だったのだな、と言う印象を私は持ってしまった。いとこが殺された事による逆上にしても同じ。逆上するのは良いが、その程度の人間であそこまで名が売れるような(いわゆるカリスマ、ですなあ)剣士になれるのか?と言う疑問がつい脳裏に浮かぶ。殺すか殺されるか、の世界です。逆上していては生き延びられないと思うのだが。いや、それが彼の弱点の一つであった、と言うのなら話は別だが、特にそう言う雰囲気の描かれ方でもなかった。

 その3。プリアモス王、アホすぎ。
 いや、アホなのは良いんだけど。そうして一つの王国が滅んでいくわけだから。でも、単身敵地に乗り込んで息子の遺体を望む、その凄い行為のすぐあとで、あのアホな行動ですかい。ついていけませんでした、と言うか、同じ過ちを二度繰り返すのではない、王様。…まあ、これはどうでも良いか。

 結局、何が描きたかった映画なのか。息子&ダンナに言わすと「戦闘シーン!」だそうで、それならまあ、それはそれで良いのだけれど、それだけではなんだかとてももったいないような気がする。描き方によってはもっと凄い映画になったんじゃないか、と思うのになぁ。脚本が拙いと思う。イーリアスを全く離れて(神様出てこないしアガメムノンもその弟王も死んじゃうし~)人間ドラマとしてのトロイを描きたかったんだろう、と思うにつけ、ああっもったいない!!!と。(^^;)

 最近あまり「何かにはまる」事はなかったのだけれど、久々にはまったかもしれない。トロイ(爆笑)。アクションと画面と衣装がとっても気に入ってしまったため、何がダメだと感じたのか、何が気に入らないのか、ぐるぐるひたすら考え続ける私(笑)。脚本が拙い!とやはり思っているわけですが、じゃあ、何をどうすれば良くなったのだろうか、と延々考えてたり。(それがまた楽しい)。非常にエンターテイメントな作りの映画だと思うので、そのあたりは考えやすいですね。テーマがはっきりしていて演出の持って行き方もパターンがある。とても分かりやすい映画だ。

 と、どうにもこうにも腑に落ちない、釈然としない私は本日レディースディを利用してもっかい観てきました。トロイ。
 観ているうちに、おかしいぞ、どうしてこんなに少女まんがチックな香りがするのだろう…という気がしてならず。そこでやっと気が付きました。これはアキレスのラブロマンス物語だったんだ!(^^;)しまった…
 テーマなんか凄くはっきりしてるじゃないですか。アキレスですよ、テーマは。なんでこんなはっきりしているものが見えなかったんだろう。不思議。初見時はどうもアクションに呑まれて目が見えなくなっていた模様です(^^;)。
 なんだ、そうか、と思ってみれば、そんなに文句もなく。まあ、こういう映画なんだろう、と。もっとなんかこう、骨太なものを勝手に期待してしまったようですね、私。全然そう言う映画じゃないんだなあ、これは。
 まあ、やっぱり脚本は拙いと思うんだけど。特にパトロクロスとアキレスの関係。イ-リアスをしっかり知っている人には分かるのかもしれないけれど、そうじゃない人にはこの二人の関係はわかりにくい。なんでアキレスがここまでパトロクロスを大事にするのか。二人の剣の練習シーンと上陸直前の「お前がいると気になって戦えない」というアキレスのセリフだけでは足りなさすぎ。この二人の関係がもっと納得いくよう描かれていれば逆上するアキレスを理解する事が出来るし、そうしたらもっと説得力のある流れになったでしょうにねー。木馬以降はもうあれで良いんだわ、きっと。アキレスのラブロマンスだもの。

 ということで、急速に冷める私。トロイ週間は5日で終了しました。まあ、5日間楽しませていただいたから良しとしようっと。

SayaT at 2004/06/05 | Comments [0]

2004年12月25日

【ドッグヴィル】

(DVD) 2003/デンマーク/ラース・フォン・トリアー
 なんかとんでもない映画でした(これも予備知識ゼロで借りてきたからなぁ。監督、ダンサー・イン・ザ・ダークの人だったんだ。そりゃとんでもないなあ)
 ともあれ、前半は退屈(よくある設定だよなあ、と。先が大体見えるし。書割も狙ったようにしか見えなかった) 後半からは面白い(胸くそも悪い)。書割の意味も掴めてきた。お父さん出てきてからは怒濤のように面白い。(父と娘の会話が大傑作で)。
 この監督は性善説なのか性悪説なのか。どちらにしても、人間の根元はどうしようもないモノだと考えてそうだ。どうしようもなく救いがたい人間ども。下手に理屈を考えつける分だけ、犬より劣る人間共。しかし、私が一番引っかかったのは、人間の傲慢さ、と言う部分だ。人を許し、罪を許す、と言う、その傲慢さ。人に人が許せるのか。許すって何? 永遠の命題。それが恐ろしく皮肉たっぷりに描かれたわけですねえ。一件被害者に見える(いや、被害者である)グレースの、とんでもない傲慢さ(が、見えるように描く、この監督の恐ろしさ(^^;))。
 それから、下らぬ屑な人間達を一掃すれば世の中は良くなるのか?と言う命題。これはジェノサイドの理由の一つによくなります。(でもこれに対しては基本的に答えは出ている。良くなるわけないじゃん。一掃する側も同じ人間なのだから。そして、人間としての根元は同じだから。どこで一掃される側とする側のラインを引くのだろう。それは不可能なのだ)いやもう、考える考える。父と娘の会話の字幕を読みながら頭の中はフル回転です。監督、お見事です。物凄く皮肉な映画だと思います。監督が、翻弄される観客を嘲笑ってるのが見えるような気がします(^^;)。
 でもねえ。時々奇蹟のような「人」が現れるよね。それから、個人レベルまで落とせば、本当に良い人も多数存在する。人間としてどうしようもなく汚い、救いがたいものを身の内に持ちながらも、それに呑まれずに生きていける人だって多数存在する。これからどんな世の中になっていこうと、そう言う少数の人々がいる限りは人類はなんとかやっていくのでしょうね。 (そして、何かがプチッと切れたら、それでお終いになるような気もするけど。あのお嬢さんのように。最近の世の中、プチッと切れかけている?切れてみないと分からないけど、なんか、「プチッ」が近づいてきているようで怖い)

 ともあれ、二度と見たくない映画だけど、面白かったです。

余談:ジェノサイド映画で疲れ果てたので、ちょっと気分を変えてと思ったのに、結局同じ様な映画を借りてきてしまう私って…自分で自分がなんだかいや(_ _;)(ただのサスペンススリラーかと思ったのだもの←事前調査しなさい、私)

SayaT at 2004/12/25 | Comments [0]

2003年09月14日

【ドラゴンヘッド 】

(劇場)2003/日/飯田譲治
映画の特別割引券5枚綴りをネットで購入。それを受取に某映画館に行かねばならぬので、ついでに映画を見てくるか、何を見ようか、と言う話になって、現在上映中のタイトルを読み上げていたら、横から「ドラゴンヘッド!」という大声が上がりましたので、見てきました、ドラゴンヘッド。私としては、「閉ざされた森」が見てみたかったんですけどね。「廃墟」と「世界の終末」という言葉に惹かれた中学生次男坊の希望でドラゴンヘッド観賞に決定。
おばさんにはダメですわ、あれ。中学生の次男坊が楽しんだのかどうかは不明ですが…。おばさんというか、大人の観賞には堪えられませんわ(^^;)。何が描きたかったんだか全然分からない映画でした。私にとってはいわゆる「金返せ!」映画、でした。映像が凄い、と言う話もちらと聞いてたんですけど、いまひとつ。小さい画面の上映場だったせいかもしれませんけれど、でも、私には今ひとつ。最初のトンネルの中のシーンがまだ一番ましでした。先日、レンタルビデオでバトロワの1を見たんですけどね(何を思ったのかダンナが借りてきたので、相伴観賞)、あちらの方がずっと良かったなあ。「人間」がまだちゃんと描けていたような気がします。

 マンガが原作らしいのだけど、もしかしてマンガをそのまんま映画化したんではないかな、とか思ったりして。マンガで読んだらまだ面白いのかもしれないなあ、とか。いや、いま、フラワーズと言う少女漫画雑誌で似たような状況設定の漫画が連載されているんですが(「セブンシーズ」、だったかな)あれ読んでる方がずっと面白いやー。きっと、このドラゴンヘッドもマンガで読んだら面白いんだろうな、映画化に失敗したな、と思ったのです。映画と漫画は違うから、映画にするんなら話を映画用に大きく作り替えていかないといけないよねえ。…マンガの方は未読ですから(評判も知らない)、私が勝手にそう想像しているだけですけれど。 (2003/09)

SayaT at 2003/09/14 | Comments [0]

2004年12月25日

【泥の河】

(劇場)1981/日/小栗康平
 とても好きな映画です。昭和30年代を彷彿とさせ(この映画の時代はもう少し古いと思いますが)郷愁を誘う映画。祖母が北港の近くに住んでいて、幼い頃母に連れられてよく遊びにいったのですが、幼心に覚えているそのあたりの雰囲気そのままなんですね、この映画。モノクローム画面というのもツボでした。
 子供たちが良かった。ぶかぶかのズボンとぶかぶかのランニングシャツを着て、裸足に運動靴(あるいは草履)で戦後の傷跡のまだ残る大阪の下町を元気よく生きている子供たち。少し人生というものが分かり描けてきている、銀子が切なかったです。米びつの中のお米に手を入れて「お米って暖かいね」という銀子が切ない。
 しかし、この映画を私はどうして、そして誰と見に行ったんだろう。この手の映画につき合ってくれそうな友人はいなかったはず(カビが生えそう!と言って、嫌がられそうだ(^^;))。ダンナともまだ知り合っていなかったはず。…一人で見に行ったんだろうか(^^;)。記憶にありません。 (2003/07/11記)

SayaT at 2004/12/25 | Comments [0]